【前編】産地と出会う /アワガミファクトリー(徳島県 吉野川市)
2022.11.24 up text & photo/池田敦 visual photo/東海林えいこ
ondoが注目する産地&作家さんと共に開催する企画〈産地と出会う〉シリーズ。
作品制作やプロダクト作りなど、全国各地の職人と作家との出会いによって、新しい価値を発信していく試みです。今回ご一緒する産地は〈徳島〉。徳島を代表する産業、1300年の歴史を持つ“阿波和紙”を制作するアワガミファクトリーさんを訪ね、徳島県 吉野川市を訪れました。
前編・後編の2回に分け、和紙のことや今回の取り組み、アワガミファクトリーさんについてご紹介します。
日本古来の植物から作られる、薄くて強い阿波和紙
〈洋紙に比べ格段に繊維が長いため、薄くても強靭で寿命が比較的長く、独特の風合いを持つ〉と言われている「和紙」。原料は、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などの日本古来の植物で、これらの植物の外皮下にある柔らかな内皮・靭皮(じんぴ)の繊維を中心に使われてきました。
最もよく使われているのが、楮。繊維が強く強度があり、栽培が容易で毎年収穫が可能、原料調達しやすいのも特徴のひとつです。
三椏は、繊維が柔軟で細く、紙の表面が滑らかで上品かつ繊細な印象が特徴。こちらは収穫まで3年かかります。世界一の品質を誇る日本銀行券の原料としても使用されています。
さらに繊維が細く光沢感に優れた、雁皮。収穫まで7年と成育が遅く栽培が難しいので、主に自生している雁皮を使用します。
それぞれに優れた特質があり、いずれも繊維が長く強靱で光沢があり、薄くて強いという性質を持っています。
これ以外に、麻、桑、竹なども原料として使われ、書道用紙には木材パルプ、藁(わら)なども使われています。
和紙と洋紙の違いって?
和紙とは、日本古来の材料を活かし漉かれた紙のことを指します。長い繊維を「絡めて」作られているのが特徴です。一方、洋紙とは西洋から伝わった製法で作られた紙のこと。主に木材(パルプ)などを機械、または化学的に処理して作られた紙のことを指し、短い繊維を「敷き詰めて」作られているのが特徴です。
洋紙は主に印刷するために生まれてきた紙なので、表面は平滑でインクが乗りやすく、一方、和紙は長い繊維を「絡めて」いるため、独自の風合いと繊維の絡みによって薄くて強いという特徴を持っています。印刷においては色が沈む、滲むなど言われますが、滲みを抑えたいときにはドーサ引きと呼ばれる加工を行い、目を詰める工夫が施されています。
これまであまり身近に感じることが少なかった和紙ですが、ondoとしてはイラストレーターさんや作家さんの作品での使用や、プロダクト制作への可能性も感じています。和紙の特性を活かした、より感性に届くようなクリエイティブ作りの一つの選択肢にもなるのではと考えています。
※後編では、今回の阿波和紙を使った作家さんの作品作りについてご紹介していきます。
ondo gallery(東京・清澄白河)にて展示開催。その後、徳島へと巡回します。
今回、アワガミファクトリーさんと取り組んだ阿波和紙の作品は、ondo gallery(東京・清澄白河)で開催する、-産地と出会う-『徳島のモノづくり展』でご覧いただけます。その他、徳島を代表する産業・藍染と作家さんのコラボレーションによって生まれた作品展示や、徳島のライフスタイルショップ・cue!さんに、コーディネートいただいた魅力溢れる徳島の商品やプロダクトを展示販売。ぜひお楽しみください。
本展は、2023.4.13より徳島のCUE!さんへと巡回します
-展示開催-
EXHIBITION/産地と出会う
『徳島のモノづくり展』
11.25(金)-12.4(月) 12:00–19:00 ※28(火)・29(水) 休み
@ondo gallery 東京都江東区清澄2-6-12
→https://ondo-store.net/creator/chikaihiromi/19455/
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-徳島巡回-
『徳島のモノづくり展』in TOKUSHIMA
2023.4.13(木)-5.2(火) 11:00–19:00 ※水曜休み
@CUE! 徳島県徳島市昭和町7丁目1-2
→https://ondo-store.net/creator/chikaihiromi/23244/
アワガミファクトリー 徳島県で1300年の歴史を持つ阿波和紙を製造・販売しています。 オーダーメイド和紙制作も承っています。
→URL_http://www.awagami.or.jp
→twitter_@AwagamiFactory
→instagram_@awagamifactory_jp